競馬で走っている全ての競走馬にはオーナー(馬主)が存在します。
競馬を趣味にしていると、自分も馬主になってみたいなんて思ったりしますが、
JRAの個人馬主資格には所得額2年連続1800万以上、資産額9000万以上という
高い高いハードルがあります(馬主資格を参照)。
しかもサラブレッドは安い馬でも数百万、高い馬になると億単位になります。
JRAの馬主になることは成功者の証し、まさにステータスシンボルです。
このように、庶民には遠いところにある憧れのような馬主生活ですが、
気分だけでも馬主生活を味わいたいという人のために、あるシステムが存在します。
それは馬主資格を持った法人が、馬主気分を味わいたいという個人会員を集め、
1頭の競走馬を複数(数十人〜数百人)の人間で所有してもらうものです。
これなら1000万の馬でも500人集まれば、一人2万の負担で所有できます。
この会員のことを俗に「一口馬主」と呼んでいます。(一口馬主を参照)
一口馬主になりたいと思ったら、まず21個ある(2012年現在)クラブのどこかの会員になる必要がありますが、
ここでは(有)シルク(以下、シルク)のケースを参考に説明していきます。
まず、入会する時に入会金が必要になります。シルクの場合は10,000円です。
そして月々の会費がかかります。シルクの場合は3,150円(消費税込)です。
これらの金額はクラブによって異なります。
次に、募集馬の中から自分が「一口馬主」になりたい馬を選び、申し込みます。
そして所有者になれたら馬代金がかかります。馬代金は募集金額と募集口数で決まります。
募集金額は安い馬(数百万)もいれば、高い馬(一億を超える)もいます。
募集口数はその馬を何人で所有するかということで、クラブによって異なります。
同じ2000万の馬でも、50口で募集しているクラブなら一口40万になりますが、
500口で募集しているクラブなら一口4万になります。シルクの場合は500口で募集しています。
なお、申し込んだ馬が人気馬の場合は抽選になるケースもあります。
さらに、所有者になれたら2歳の1月から月々の経費がかかります。ぶっちゃけていえば餌代です。
これもクラブによって異なりますが、シルクの場合は一頭あたり1,200円です。
5頭所有していれば、1,200円×5で毎月6,000円かかります。
この経費はその馬が引退する時に精算し、余剰金があれば返金されます。
最後に、2歳から4歳まで、年に一度競走馬保険料がかかります。
保険料は2〜3歳が馬代金の3.3%、4歳が馬代金の2.31%です。
以上がかかる経費の全てです。シルクのケースをもとに説明しましたが、
他のクラブもシステムとしては大差はないと思います。
しかし、正確な情報は各クラブに問い合わせていただきたいと思います。
前の項目で、かかる経費について説明しましたが、次は入ってくるほうです。
当たり前のことですが、ほとんどは所有馬がレースで走って稼いできた賞金です。
シルクの場合は、獲得総賞金から調教師、騎手、厩務員への進上金、源泉税、クラブ手数料、
消費税等が控除され、約70%程度が出資口数に応じて出資者に還元されます。
その他に、故障したときにお見舞金が出たり、引退したときに売却代金が入ったりします。
「一口馬主」が儲かるか?と訊かれたら、答えは「NO」です。
中には儲かる馬もいますが、馬代金以上に賞金を稼いでくれる馬はせいぜい一割位でしょう。
月々かかる会費や餌代を考えると「ペイ」する馬はもっと少なくなります。
だいたい儲かるものだったら、金持ちはみんな馬主になります。
じゃあ何で「一口馬主」なんかするのかといえば、やっぱり「自分の馬が走る」魅力だと思います。
野球をやっている息子が甲子園に出たら嬉しいのと同じように、レースに出てくれたらとても嬉しいものです。
ましてや勝ってくれたら嬉しさは倍増します。(ボロボロだったらガックリしますが)
もしかしたらGI馬になれるかもという夢も持てます。
それが、みんなが儲からない「一口馬主」をする理由だと思います。
多いときは10頭近く所有していましたが、諸事情により現在は二頭だけです。
![]() | シルクメビウス号(栗東・領家厩舎) ※2013/5/30 抹消。北海道競馬での復帰を目指す。 | |
![]() | シルクドミニオン号(美浦・粕谷厩舎) ※2013/03/20調教中の骨折の為、安楽死 |